気仙沼のサメ~Vol.01 世界で唯一「サメ・エコ」文化が根付く街
地域に根差した文化、歴史には、決して真似のすることが出来ない知見と技術の蓄積があります。気仙沼にとって「サメ」がそのひとつ。
サメを“ハード”と呼ぶならば、ここから食、健康、美容、観光、ものづくりなど、あらゆるジャンルの“ソフト”を生み出すことのできる、大切な地域資源です。
さて、「サメ」と聞いて何を思い浮かべますか?
映画「ジョーズ」に出てくる凶暴で巨大なサメや、高級食材のフカヒレでしょうか。
けれど、もっと身近な生活の中で、わたしたちが知らないうちに口にしているものがあります。それは「ちくわ・かまぼこ・はんぺん」。あのフワフワ感はサメ肉効果なのだそうです!
そして気仙沼で水揚げされるのは、ジョーズのようなサメではなく、体長2~3mのヨシキリザメやモウカザメ。
気仙沼は、江戸時代から続く日本の伝統的なマグロの延縄(はえなわ)漁法により、海と共存しながら生きてきました。マグロがいる場所はサメも釣れやすく、この漁法では、マグロと共にサメが多く水揚げされます。
そして一緒に捕れたサメを捨てるのではなく、余すことなく生活に活用してきた歴史と文化を持ちます。現代風にいえば“エコ”“サステナブル”“もったいない”の活動がすでに明治時代から行われてきました。
そして、今では身をすり身やフィレに、骨や皮を健康食品や化粧品へとサメを余すことなく利用することが出来る、世界で唯一の街となりました。
近年、環境保護の面からサメ漁は残酷だと指摘を受けていますが、そこには大きな誤解があります。この指摘は“ヒレのみを利用して後は捨てる”という漁法に対する観点からであり、日本は歴史的にサメをほとんど捨てずに有効活用してきました。
気仙沼に行くと、戦後の物資不足の時代は、ランドセルやベルトや靴がサメ革だったという話をよく耳にします。新築祝いにもらったという、サメ革の財布を見せてくれた方もいました。
現代では高級品でなかなか手に入らないものが、日常の生活の中にあったのですね。
現在、気仙沼のサメ漁では、MSC認証の取得を目指しています。
MSC認証とは、海洋の自然環境や水産資源を守って獲られた水産物に与えられる、海のエコラベルです。
海と共存する日本の文化を世界に広めるためにも、まず、わたしたち日本人が、大切な海の資源である「サメ」をより良く知ることからはじめ、気仙沼のサメと一緒に、新しいメイド・イン・ジャパンをつくっていきたいと思います。
気仙沼のサメについて、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
サメの街気仙沼構想推進協議会 http://www.samazing.jp/
(写真は、全て「サメの街気仙沼構想推進協議会」の提供によります)
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